プリアンプってなに?


プリアンプって何なのかってのをゴク簡単に説明します。
わかってる人や、本サイトのピックアップの記事をご覧になった方は、その必要性と役割についてフォローの必要は無いと思いますんで、ここは読み飛ばしちゃってもOKだと思います。

弱い信号を増幅するものです

名前に「アンプ」って付くぐらいですからあったりまえですね。
プリアンプ接続の図
ブッちゃけた話、プリアンプが無くても音は出ます。
では、アンプがあるのになんでその手前にプリアンプをつなげる必要があるのでしょうくわ?
思い切って(?)答えから言っちゃいましょう。プリアンプの目的は以下のとおりです。
  1. S/N比を稼ぐ
  2. 音痩せを防ぐ
  3. ダイナミックレンジを拡げる
  4. 音質補正

S/N比を稼ぐ

ピックアップのページで説明したように、ピエゾ・ピックアップはごく弱い出力しか得られません。
この弱い出力は、何メートルもあるシールド(ケーブル)を通過するときに、ノイズ(電磁妨害/電磁ノイズ//電磁誘導ノイズ/ハム/外来ノイズなどとも言う)の影響を受けやすくなります。(影響を受ける程度や質は、まわりの環境やシールドやコネクタのクオリティに依ります)
仮にピックアップの出力を「2」として、シールドの拾うノイズを「1」とすると、50%相当のノイズが混入してしまうことになります。「さぁー」とか「ざぁー」とか「んー」とか「びぃー」とか「うぉーん」...とかいう(環境によって異なる)ノイズが結構目立ってしまうんです。この信号レベルに対するノイズレベルとの差をS/N比といい、ノイズが大きいときは「S/N比がワルい(低い)」なんて言ったりします。
プリアンプを使わない場合のノイズ混入比の図
シールドの手前でプリアンプによって出力を「5」に増幅してやると、ノイズは音声信号の20%になりますので、ノイズが目立たないクリーンな音になります。「S/N比が良い(高い)」ってことですね。このようにして信号に対するノイズを下げ、有効信号レベル(ダイナミックレンジ)を上げる(拡げる)ことを「S/N比を稼ぐ」って言うこともあります。
プリアンプを使う場合のノイズ混入比の図
ここでは実際に計測器で出力レベルを測定した数値でなく、説明用の数値例として表しています。
また、ここで示した図表のように、単純にノイズレベルが重なるのではなく、実際にはノイズが乗ると全体の出力レベルは上がります。
出音が耳障りかどうかは数値で表現しにくい感覚の世界ですので、概念を知る上での目安として捉えてください。
余談ですが、S/N比とは、厳密には S+N/N比 であり、無音(信号が出ていない) = ノイズだけ のときと、ある基準の音量を出したときの音量の差を、dB(デシベル)という単位で表したものです。ですから、S/N比は大きい方がいいってことですね。

音痩せを防ぐ

また、ノイズが目立つかどうかだけでなく、音質にも影響します。
微弱な信号がシールドを経由した場合、音痩せしたり、ある一定レベル以下の信号の減衰や、減衰しやすい周波数(音の高さ/音程)がカットされるために起こる不自然な音のピークが出たりします。(まわりの環境や、シールドやコネクタのクオリティによって発現のしかたは異なります。)
シールド経由による音痩せの図

ダイナミックレンジを拡げる

もともとゴク弱い信号を強引にアンプ側で大きくするため、ダイナミックレンジ(表現できる音の大小の幅)が狭くなってしまいます...このあたりはS/N比の話とカブっちゃうんで、S/N比の説明に使った図表をご参照ください。

音質補正

ピエゾ・ピックアップの特性上、音質補正を行うプリアンプも多数存在します。
ピックアップのページで少し述べましたが、ピエゾってのは高音には非常にセンシティブですが、低音を拾うのには適していないものなのです。結果、高音側の出力は得やすいですが、低い音の出力は弱くなりがちです。
ピエゾ用プリアンプの多くは、この特性を補正するよう設計されているようです。
更にイコライザーなどのトーン・コントロールを備え、プレイヤー自らが、音質や出力レベルなどをコントロールできる製品が多いみたいです。
よりキメ細かな音質補正をしたい向きのプレイヤーの方は、グラフィック・イコライザーなどを別に用意して接続しておられるようです。
また、これは余談と言うべき話かもしれませんが、最近ではマイク・シミュレータなるものも出現してきております。これは、ピックアップ特有の音のクセをなくし、マイクで拾ったような音に加工するフィルタが付いたものです。
細かい話をしますと、ゲインやレベルの他に音質補正を積極的に行うコントロールが付いた機材はプリアンプとは呼ばないとする人もいますが、アコースティック・ギター用のプリアンプの多くが音質補正のための何らかの機能を持っていますので、今のところここでは一緒クタにしてお話しすることとします。
というのは言い訳で、バッファとかプリアンプだとかの詳細を説明するためのスキルが無いからなんでス。脳の造りが文系の私はやる前からサジを投げているのでした...
ご要望ありましたら何とか考えて説明しますね。

以上のことから、出力の弱いピエゾ・ピックアップにはプリアンプが必須であるといえるでしょう。
また、ピエゾ・ピックアップと比較して出力の高いピックアップにも同様の事由でプリアンプなどを接続するプレイヤーは多いようです。

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